遺族基礎年金は国民年金の被保険者が死亡した場合に支給される死亡給付です。主に残された18歳までの子供の生活保障の為に設定されている給付です
目次
1.支給要件
遺族基礎年金は次のいずれか(どれか1つでもOK)の要件を満たす場合に支給されます
①国民年金の被保険者
②国民年金の被保険者であった60歳~65歳の者で、日本国内に住所がある者
③老齢基礎年金の受給権者(25年の支給条件を満たしているもの)
④受給資格期間が25年以上ある者
※①②に該当した者が死亡した場合は、死亡した者が保険料納付要件を満たさなければならない。③④の場合は保険料納付要件は問われない
保険料納付要件
上記の①②に該当する場合は次の保険料納付要件を満たさなければ、遺族基礎年金は支給されない
A.保険料納付要件
初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があるものについては、その被保険者期間については、その被保険者期間のうち
保険料納付期間(保険料を納めた期間)と保険料免除期間(保険料を今は払えないときちんと申告した期間)とを合算した期間が当該保険料の3分の2以上あること。つまり、3分の1を超える保険料未納が無い事
B.特例
令和8年4月1日前に死亡した場合は、初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの直近1年で未納がないこと。ただし、死亡日において65歳未満の人に限る
C.死亡日が平成3年5月1日前の場合
当時の保険料納期限との関係から、死亡日の属する月の直近の基準月(1月、4月、7月、および10月)の前月までの期間で保険料納付要件を見る
2.遺族基礎年金の金額
遺族基礎年金の金額は遺族の数によって、決定し、定額になっています。
①子のいる配偶者に支給される額
国民基礎年金(781,700円・・・令和2年)に子の加算額を足した額
遺族基礎年金の額(令和2年度)
子 | 加算額 |
1人目・2人目 | 1人につき224,900円 |
3人目以降 | 1人につき75,000円 |
配偶者と子が受給権を有する時は配偶者に優先して支給され、その間、子に対する遺族基礎年金は支給停止される。つまり、この分も含め、全額が配偶者へ支給されます
子のある配偶者に支給される遺族基礎年金
子の数 | 年金額 |
子が1人の配偶者 | 781,700円+224,900円 |
子が2人の配偶者 | 781,700円+224,900円 × 2人 |
子が3人の配偶者 | 781,700円+224,900円 × 2人 + 75,000円 |
②子のみしか居ない場合に支給される額
受給権者が子のみの場合には、子1人の時には老齢基礎年金(781,700円)が支給され、子が2人以上の時は子の加算があります
子のみの場合の遺族基礎年金
子の数 | 年金額 |
子が1人 | 781,700円 |
子が2人 | 781,700円 + 224,900円 |
子が3人 | 781,700円 + 224,900円 + 75,000円 |
3.年金額の改定
加算の対象となる子の増減があった時は、増減があった月の翌月から年金額が改定される。
【増額】
受給権者がその権利を取得した当時退治であった子が生まれた時
【減額】
- 死亡した時
- 婚姻した時
- 配偶者以外の養子となった時(事実上の養子縁組含む)
- 離縁
- 配偶者と生計維持しなくなった時
- 子が18歳3月31日になった時(障害等級1.2級除く)
- 子が障害等級1.2級ではなくなった時(18歳3月31日以降)
- 子が障害等級1.2級に該当する子が20歳になった時
遺族の範囲
生計維持とは?
死亡当時、死亡した者と生計を同じくし、年収850万円以上の収入を将来に渡って得られないと認められる状態
子とは?
18歳3月31日までの子。又は、障害等級1.2級の障害の状態にある子で、現に婚姻していない事。また、被保険者の死亡当時に胎児であった子が生まれた場合は、生まれた時から遺族基礎年金の受給権者となり、出生した日の属する月の翌月分から遺族基礎年金が支給されます
4.支給停止、失権
上記の減額の他に支給停止や失権もあります
支給停止
①配偶者と子の支給停止
遺族基礎年金は、被保険者または被保険者であった者の死亡について、労働基準法の規定による労働補償が行われるときは死亡日から6年間、支給を停止する
(労働災害保険法の遺族補償が行われる時には、遺族基礎年金は全額支給され、労働災害保険法の遺族補償が減額されて、調整される)
②配偶者のみの支給停止
配偶者に支給する遺族基礎年金は、配偶者の所在が1年以上明らかでない時、遺族基礎年金の受給権を有する子の申請によって、所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、支給停止される。また、配偶者はいつでも解除できる
③子のみの支給停止
受給権者の子が、次のいずれかに該当した時は支給停止される
- 配偶者が遺族基礎年金の受給権者である時(子と配偶者がいる時は合わせて、配偶者に支給する為)
- 生計を同じくする父または母がある時(子の遺族基礎年金は受給権者となっても、生計を同じくする父または母がいる時は支給停止され、死亡者の配偶者に対して、死亡一時金が支給される)
- 遺族基礎年金の受給権者を有する子が2人以上ある場合において、その子のうち、1人以上の子の所在が明らかでない時、他の子の申請によって、所在が明らかになった時にさかのぼって、支給停止できる
失権
①配偶者と子の共通の失権理由
- 死亡
- 婚姻
- 直系血族または直系婚族以外の者の養子となった時
②配偶者のみの失権理由
遺族基礎年金の加算の対象となっている子が、全て減額改定事由になった時
③子のみの失権理由
- 離縁のよって死亡した者の子で亡くなった時
- 18歳の3月31日が終了した時(障害等級の1.2級の状態にある時を除く)
- 20歳未満で、障害等級1.2級の状態に該当する子については、その事情がなくなった時、あるいは20歳に達した時(18歳3月31日までにある時を除く)
まとめ
1.遺族基礎年金の支給要件は4つ
- 国民年金の被保険者
- 元、被保険者で60~65歳で、日本国内に住所がある
- 25年以上、国民年金に入っていて、受給権がある
- 日本老齢年金の受給権者
2.遺族基礎年金の金額は
子が1人+配偶者の時は、781,700円+224,900円
子が2人+配偶者の時は、781,700円+224,900円 × 2人
子が3人+配偶者の時は、781,700円+224,900円 × 2人 + 75,000
3.遺族基礎年金の金額は子が生まれると増える
子が死亡、婚姻、離縁や18歳の年度末を迎えると減る
4.支給停止、失権
支給停止には、配偶者のみ、子のみ、配偶者と子の共通の3つの支給停止理由がある
失権にも、配偶者のみ、子のみ、配偶者と子の共通の3つの支給停止理由がある